2016年7月27日水曜日

身近な世界と図画工作(考え中)

1 身近な世界と図画工作
現実の身近な世界は厳密に教科で切り分けることができない。様々なものごとは複雑に絡み合い、見る角度によって様々に表情を変える。身近な世界にどのように働きかけ、アプローチし、問題を解決していくか、というプロセスは、未来を生きる上で重要である。
図画工作ならではの見方・考え方をしながらも、世界を認識し、確かめ、“わたし”自身が立つ現在地点を確かなものにする、より統合的な総合表現活動が必要であると考える。

〈アプローチする方法:図工の思考力〉
 図工の思考力を考えた時に、「手で考える」のだ、という言葉を子供がつぶやいていて、しっくりきた。手で考える、身体で考える。ものごとと直接かかわる図画工作でことさら“身体性”が重要視されているのも頷ける。“身近な世界”と関わるためのアプローチドアこそが“身体”そのものであろう。“わたし”は身体をつかって絶えず交信している。確かめている。諸感覚をつかって“わたし”は絶えず世界を拡げている。感じ取って、考えて、また感じて。“わたし”は拡げると同時に深めているのだ。心と頭という内面をつかって“わたし”を掘り下げているのだと言える。その過程こそがまさに図工ならではの思考力が発揮される場だろう。
 また図画工作ならではの見方・考え方をしながらも、より統合的な活動が必要であると考える観点から、思考する活動についても話し合ったり、図を用いたり、表で計画を立てたりといった一般に他教科の文脈で語られることの多かった活動などを相乗的に活用する必要もある。

〈アプローチする対象:図工の対象、題材の対象、テーマ〉
 図工の思考力は働く方向・対象を提案することによってより高次なものとなる。
高学年児童は、個別のものごとを比較関連付けて、統合的にものごとをみることができるようになる。今回ここでは個別の事象体験(ものの体験)をさせるのではなく、統合的に活用しながら、実際の身近な世界(身近な社会)と関わり合い、表現を広げ深めていくことができるアプローチの対象を選出したい。

“生活を美しく豊かにする造形や美術の働き、美術文化についての実感的な理解を深め、生活や社会と豊かに関わる態度を育成することについてはさらなる充実を求められている。”〈さらなる充実を求められる事項について 芸術ワーキンググループにおける取りまとめ(案)P1〉
“授業で学習したことを、授業時間以外に、学校や地域で表現する場を用意するなど、学校自体が学校における学習と社会をつないでいくことに取り組むことも重要である。特に芸術系教科は、教室の中の閉じた人間関係にとどまらず、教職員や保護者、地域の人々などと連携ができる教科であり、身近なところから社会に関わる活動を進めていくことも、子供の学びを深めていく上で効果的である。”〈生活や社会の中での働きについて 芸術ワーキンググループにおける取りまとめ(案)P17〉

2 大会に向けて
知る限りにおいて、児童が“主体的に”都図研大会に参加するような題材はほとんど行われていない。児童は常に“楽しい図工の世界”のお客様であったように思われる。ある事象に対する図工としてのアプローチがその教科の見方・考え方の大枠であるのならば、この大会を生かさないわけにはいかない。私たちは子供をお客様にはしない。

1 件のコメント:

  1. 「私たちは子供をお客様にはしない。」
    ↑この断言が最高にかっこいい。

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